2『戸惑い』
今朝は、いつもと違っていた。
「っ・・ぅっ・・っ」
声を殺すことが困難で、必死で唇を噛み締めた。
“彼”は秀美に声を掛けた日から、行為は徐々にエスカレートして行った。
ただズボンの上から触れるだけだった彼の手がズボンの中に入ってきて、直に触れてくるようになった。
その次は触れていた手を上下に擦り上げる。
そして、今日は・・・・
『もう少しだね・・・・? もう少しで・・・・。』
「んっ・・ぁっ・・」
クチュクチュと音を立てながら、先端の割れ目を擦り上げる。
音が近くの人に聞こえたらどうしようと、秀美は焦った。
「っく!!」
―イクっ!!
彼の手の中に放出してしまった。
「・・はぁ・・・・・・」
射精後の気だるさを感じながら、後ろにいる彼にもたれかかった。
『可愛いね・・・ひでみちゃん・・・・』
彼は、秀美の下半身をハンカチで綺麗にしながら、耳元で囁く。
背中がゾクッとした。
事が済むと、彼は秀美の背中を押した。
足をふらつかせながら押し出される流れに乗って下車をした。
秀美はぼーっとした頭で後ろを振り返り遠のいて行く電車を見つめた。
『もう少しだね・・・・? もう少しで・・・・・・会えるよ』
彼がそう言ったような気がした。
会える?いつ?
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