「誰に頼まれたのかは聞かないけど、嘘つくならその癖直せよ。」
聖はそう言って、身体の向きを机に向けると再び書類に目を通し始めた。

斉藤と秀美はちらっと視線で合図を送った。


―無理。
斉藤は小さく首を振った。

― 了解
秀美は小さく頷いた。

ただ生徒会長をやっているわけじゃなかった。聖を少し侮っていた。
他人に頼むのが無理なら、やはり直談判しかないだろう。

文化祭の決算報告書に赤ペンでチェックを入れながらため息を吐いた。
「は?何?この予算。無理」

「さて、今日はこの辺にして帰るか。秀美。送っていくから待ってろ。」
チャンスは突然やってくる。

「あぁ。早くしろよ。」
何をされるか不安だが、確認するには絶好の機会だ。逃す手はない。

「・・・・何?」
聖がじっと秀美の顔を見ていた。
「いや・・やけに素直だな。何か企んでるか?」
どこまでも勘の良い男だ。

「別に、嫌なら先に帰るぞ。」

―この男と居ると何もかも見透かされるようで嫌だ。

「待て。悪かった。一緒に帰ろう。」


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